銭湯(お風呂屋)

内風呂は小学校の低学年の頃までなかった。銭湯は歩いて30分ほど行かなければなかった。公営の住宅に住んでいたが、回りは農家がほとんどで、そちらの家には風呂があった。だから、付近には銭湯などなかった。銭湯のあるその場所は、私の家の回りより今で言う都会だった。駅から大きな病院に通じる道の両側には、商店が立ち並び、その道路からまた奥まったところに銭湯はあった。道路から銭湯の入り口までの道の両側には、子供の欲しがるようなおもちゃ、夏は花火が売られていて、ちょっとした賑わいがあった。そんな距離があったので、夏は風呂で汗を流して帰るころには、また汗をかいていたり、冬には風呂で温まった身体が帰るころにはもう冷たくなっていたりした。時々、隣りのお兄ちゃんが一緒に風呂屋に行こうを誘ってくれた。お兄ちゃんは自転車で行くので、私は後ろに乗っているだけでよかった。ただ、一ヶ所だけあぜ道の狭いところを通るので、そこに差し掛かるとハンドルがふらふらして、いつか田んぼに落ちるのではと思っていた。案の定1度だけ、風呂屋に行く途中その田んぼに落ちた。刈り取る前で水は張っていなかったが、どろんこになった。風呂から出る頃にはもう乾いていた。お兄ちゃんは誰にも内緒だからなと言って口止めに銭湯の前の店屋でラムネをおごってくれた。
東京へ出て、最初のアパート暮らしで、久しぶりに銭湯へ行くことになった。やはり、銭湯の前には駄菓子屋があって、子供たちで賑わっていた。





この記事へのコメント

この記事へのトラックバック