どんぐり

遊び場と言えば鎮守の森の一角に小さな公園があった。一通りの遊具も設置されていた。すべり台、ブランコ、シーソー、砂場。大きな松の木などに囲まれていたので、真夏のギラギラする太陽光はそこでは和らいでいた。でも、他の季節では昼間も薄暗く、夕方には真っ暗になることが多かった。そんな場所だったので、お姉ちゃんや近所のお兄ちゃん達と一緒に行くことが多かった。松の木が多かった精で、大きな松ぼっくりがあちこちに転がっていて、それをボールの代わりに投げて遊んだ。大きさからすると松ぼっくりよりずっと小さいので目立たなかったが、どんぐりも落ちていて、これはコマにして遊んだ、それ以外何か遊びの道具として使った記憶がない。
ところで、最近の私の散歩コースでは一ヶ所どんぐりの落ちている場所がある。しばらくぶりの対面である。コースのほとんどが住宅街の舗装されている道路なので、ブナ科の木が繁るような場所は歩かない。でも一ヶ所あるその場所は、人がやっと一人通れるような細い道で、かつ急な坂道になっている。道の片側だけに木が植わっていて、その枝が細いその道に覆い被さっている。反対側には背丈の低い草が繁っていて、その先はひらけているので、坂を登るにつけ見晴らしがよくなってくる。雨が降ったりすると、ぬかるみになり、滑るので危険だ。人通りもほとんどない。木、草、土の匂いが自然を感じさせる。急な坂道はうつむきかげんで息を切らして上がるので、見上げたことはないが、足元に落ちているどんぐりを見るとたぶんアラカシと思われる。いつかそのどんぐりを拾ってみようと思うのだが、いつも通り過ぎてしまう。散歩コースには公立の大きな公園も入っている。そこは松ぼっくりもどんぐりも落ちていない。ということは松やブナ科の木が植わっていない。実がなるものではイチョウがあるので、銀杏は落ちていることがある。木の種類としては、くすのき、けやき、桜、もみじ、あじさい、イチョウなどで、四季折々に楽しめるようにはなっている。でも、手に取れる木の実がなるものは少ない。例えば、モミジバフウ、トチノキ、プラタナス、それに松やどんぐりのなる木があればいいのだが。
どんぐりにはいくつか種類があるのは知っていたが、調べてみると20種類位ある。大きく分けるとブナ、コナラ、シイなどになる。形は丸いもの、細長いものなどまちまちで、下の部分に付いているはかまと言ったりするものも、大きさや模様がいろいろある。それでも総称してどんぐりと言えるのはなんだろう、かわいい大きさに硬さ、表面のつるっとした感じ、全体の形に愛嬌がある?。形については実が落ちたときに遠くに転がっていけるようにあの転がりやすい形になっているらしい。そもそもどんぐりの語源も定説がない。別の種類と大きさを比べると明らかな違いがあるが、同種のものの個体を比べるとほとんど違いがない。このことから、どんぐりの背比べというのだそうだが、そこから派生して大きさだけではなく、性質や能力などに違いがないことを言う場合に使われる。
公園には広場もあって子供たちがよくボールを蹴って遊んでいる。何人かはベンチに座ってゲームをしている。確かに私の子供の時とは遊び方が違う。それでも、この子達はまだまだ「どんぐりの背比べ」だけどきっといつかそれぞれが個性豊かで秀でた才能を発揮できるときがくると思うと頼もしい。

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宮国 晋一

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