病院
いつもと同じように、その建築中の場所に行き、友達と遊んでいた。大工さんはそこにはいなかったので、日曜日だったと思う。友達は数人で、その時にいた友達が誰だったか今は思い出せないが、私がその時、小学校の4年生で、1つ下の近所の友達や6年生のお兄ちゃんもいたように思う。その建築中の家は柱が立っていて、骨組みがやっと出来上がってきたところで、柱と柱の間の基礎の部分を渡って鬼ごっこのようなことをして遊んでいた。誰かが「あっ!」と声を出したのでそちらの方を向いた時は、もう既に立てかけてあった材木が私の方に倒れ、頭の上まできていた。とっさに体は避けたが、足が逃げきれなかった。あのまま頭に材木が当たっていたら、今私はこの世にいないと思う。足に一瞬激痛が走ったが、その後は感覚がなくなった。ズック靴を履いていたので、外見はどうにもなっていなかった。しばらくすると、血が滲んできた。本人もそうだったが、周りの友達もこれはただごとではないと思った。私は歩こうとしたが、足に力が入らず歩けない。お兄ちゃんにおぶられて、家まで帰った。靴を脱いで、靴下も脱ぐと、足の甲のそこは皮膚が割けていた。病院までは、早足で歩いて15分ほどのところにあるが自分では歩けないし、誰かにおぶってもらっても行ける距離でなかった。そこはお姉ちゃんの自転車の荷台に乗って、お姉ちゃんがその自転車を引いて病院まで行った。その病院は内科も外科もやっていて、風邪で熱を出しても、怪我をしてもそこの病院へ行った。病院は町の開業医といった小じんまりした病院だった。その頃は医薬分業でなかったので、病院で薬が出た。待合室には長椅子が2つ置かれていて、その部屋の一角に小窓がありそこから薬が出される。当時は個人情報もプライバシーなど関係なかった。大きな声で名前を呼ばれると、その小窓へ行き、薬の説明を受ける。それを聞いていると、どんな病気かわかってしまう。ただ、深刻な病気だったら、大きな病院へ行っているので、そんなことを気にする人はいなかった。(つづく)


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