OKedok

アクセスカウンタ

zoom RSS 憎い教科書

<<   作成日時 : 2011/08/30 21:12   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

5、6年生だったと思う。国語の授業で順番に先生から当てられて、教科書を読まされていた。私は人前で声を出して読むのが得意でなかったし、国語という科目も好きではなかった。いよいよ私の番が回ってきて、しばらくは順調に読み進んでいたが、急に詰まってしまい、息を飲んだ。
春休みのある日、母からあの家の人にはよく話をしてあるから、風呂敷を持って行くように言われた。どうしてと聞くと、お前が次の学年で使う教科書を譲ってもらえるように話をしてあると言う。当時はまだ教科書が無償ではなかった。教科書を買うかわりにひとつ上の上級生の教科書を譲り受けると経済的に助かるという発想だ。そこの家の子は顔を知っている程度で一緒に遊んだこともなく、あまり馴染みがなかったが、母の言いつけどおり風呂敷を持って出かけた。幸いその子はいなくて、おばさんが「これで全部だから」と言って差し出してくれた。それを風呂敷に包んで持ち上げるとずっしりと重く、家までの1キロほどの帰り道は遠かった。
先生は、詰まって読み進まない私に「どうした?」と教壇から声をかけた。私は「何でもありません」と言いながら、小声で「つぎはなに」とつぶやいた。二人並んで座る机で私の横は女の子であった。その子は勘がするどく、私がどういう状況なのか察したらしい。その子のつぎつぎに小声で教えてくれるセンテンスをそのまま真似た。その様子を見ていた先生は、「もういい、よく練習しておくように」と言って、次の子を当てた。
授業が終わって、すぐ、隣の女の子は「やっぱり破れていたのね。」と言って私の教科書を覗き込んだ。表紙を見ればすぐにそれが一年以上使い込んでいるのは明らかだ。多分、譲り受けた時にはもう破けて、その頁はなかったのだろう。情けないというより私の精じゃないという気持ちがあったので、平気であった。
翌日、その女の子は、そのページの裏表を書き写して私に渡した。私は嬉しかったが、「読める字書けよ」と言って受け取った。それから1ヶ月も経たない内にその子は転校して行った。勿論、家庭の事情でのことだが、その事情がなんなのか知る由もなかった。ちょっと淋しかったが、そのまま受け止めるしかなかった。多分、その子の初恋の相手というのが、私だったのではないか?なんて、そう思いたい、ちょっと苦い思い出を美化しようとする自分がいた。


21cm地球儀
漢方の葵堂薬局
サイズ地球儀:約直径21×31cm日本地図:65×45cmバルカン半島地図:11.5×7.5cm素材


楽天市場 by 21cm地球儀 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
憎い教科書 OKedok/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる